ローマ法王庁

京都大と米ウィスコンシン大がそれぞれ人の皮膚から万能細胞をつくったことについて、ローマ法王庁バチカン)の生命科学アカデミー所長でカトリック聖職者のスグレッチャ氏は「人(受精卵)を殺さず、たくさんの病気を治すことにつながる重要な発見だ」と称賛した。22日、ウェブ版バチカン放送が伝えた。

 法王庁は、生命は卵子が受精したときに始まるという考え方に立ち、受精卵を壊してつくる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)による研究に強く反対してきた。法王庁の公的機関の長が、今回の研究を論評するのは初めて。

 スグレッチャ氏は「(受精卵を壊す)これまでの研究方法は『人を助けるために人を殺す』という考え方に立った、誤った科学と言える」とした上で「日本人と米国人はわれわれの声を聞いてくれ、研究に成功した」と話し、科学者たちの努力をたたえた